袋物＆工芸辞典

サイビノール100番

　デパートの職人展などで、お客様からよく聞かれることに、「のりはなんですか」が多いので、まずは代表的なサイビノールをご説明します。

　袋物の職人さんならだれでもご存知の接着剤です。白いのりで、文房具店でよくある木工用ボンドと似通っています。写真のものは、サイビの100番で粘度が柔らかいタイプです。別にに６００番がありますがこちらはやや粘度が硬く、やや厚手の素材のとき使われます。適材適所です。他にも違う番手がありますが、使っていないのでよくわかりません。

合財袋

　合財袋（がっさいぶくろ）は、合切袋の表記のほうが多いですが、藤井袋物店では、財の文字を主に使っております。さいふも財布で、財の文字を使っており、こちらのほうが適切ではと思っています。

　由来については、文字通り一切合財ものが入ると言う意味での名称と考えられます。上掲のものは高さ２８ｃｍ、横２１．５ｃｍのサイズです。

　よくお客様に何を入れるんですかと問われます。一切合財入りますではあまりにも不親切です。ここでは、当店ご推奨の中身を申し上げます。

　まずは、お財布です。お財布は、札入れと小銭入れを分散してお持ちになる方が安心です。その他、たばこ、携帯電話、手帳、カメラ、小さいタオルなどでしょうか。上のサイズですと、夏場は扇子も入ります。

　内容物により中のポケットなどを工夫することも可能です。

勝虫

　勝虫（かちむし）は、とんぼの別称です。飛んでいるときに、前しか進まないように見えることから、前進あるのみ、勝気の虫ということでこう呼ばれているようです。日本には、このように縁起を担ぐ、げんを担ぐときのきっかけとなるような語句が数多くあります。気持ちの問題は大切です。

コキ

　合財袋（合切袋）や巾着袋の紐通しとして使用する部材です。コキの下部にくぎを通す穴が右から左へ開いていています。中心にある切り込みの部分を袋物本体に差込みそこにくぎを通します。通した後、裏に出たくぎの先端を飛び出た分すっかり元から切り取り、かなづちでたたいて固定します。たたいた圧力でくぎが中でくの字になり固定されます。