半月ほど前に、浅草の書店でタイトルの本を見かけたので、これは図書館にもあるかなと思い、合羽橋道具街の通りにある中央図書館で探して見つけたのが上掲の本です。
著者は西山松之助さんという明治45年生まれの方で、この本は昭和55年8月1日に発行されています。ちなみに、定価は1,200円と約30年前に出版された本としてはかなり高価な気がします。
まだ、読了していませんが、その中で興味を引いた部分をひとくさり。それは、時代が下るまで町民の定住化が困難であったことと、様々な地方の武士や出稼ぎの人達の混在する大都会であったことです。
そして、定住化が困難であった理由が2つあって、ひとつが大名や旗本の屋敷の移転に際しての町民の強制移転と、頻繁に起こる火災による強制移転です。
例えば、1657年の明暦の大火から1841年の天保12年の大火までの185年間に、横山町、人形町、伝馬町などの界隈にあったと思われる、中村座、市村座は33回も全焼しているそうです。その結果が強制移転となり、「何々町代地」という移転先が方々で見られたそうです。
そういういきさつから、あまりよく知らない人同士の混在が進み、芭蕉の「秋深き隣は何をする人ぞ」という句に言い表されているようです。
そんな混乱の中をくぐり抜け、根っから江戸に住み続けている一群の人たちも少なからずいたようです。本の中では、地方出身者ばかりの江戸店(えどだな 要は東京店)の店員や地方の武士は非江戸ッ子的存在、そしてそれとの対比で江戸根生いの町人すなわち江戸ッ子が誕生したようです。
そういえば、よく「三代続けば江戸ッ子だい」というのは、上記の事情からなんとなくわかるような気がしてきました。この本、なかなか面白いです。少しずつ読んでます。
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