私達袋物の業界でも「ゾッキ」という一般には聞きなれないこの言葉を以前からよく聞かされてきました。革屋さんへ行っても、製品を造る場合に「ゾッキで使うんですか?」なんて聞かれます。さてこの「ゾッキ」とは一体何なんでしょう?
調べてみると、どうやら繊維関係にその語源があるようです。こちらのサイトを参考にさせて頂きましたが、山本有三の「路傍の石」のくだりにもその用法が出ているのには少々驚きです。
そう、「ゾッキ」とは「総生」から来ていて、つまり混ぜ物がないこと、「路傍の石」の説明に従えば、「すべて同じものでまとまっていること。それだけであること。」ということになるようです。
ちなみに、下に並べた当店の合財袋で(ステマといわれてしまいそうですが)ご説明してみます。
こちらは、小桜文様の印伝鹿革のみで造られているので「鹿革のゾッキ」ということになります。
こちらは、牛革のヌバックのみで造られているので「牛革のゾッキ」で、ということになります。
こちらの合財袋は黒い部分の牛革と柄の部分の鹿革を組み合わせて造られています。牛革も鹿革も皮革ですが、異素材の組み合わせということでコンビネーション(コンビ)と業界では言っています。
さて、今までご説明してきた「ゾッキ」そして「コンビネーション」ですが、ものづくりから考えると一長一短があるようです。
例えば、大きなバッグを造る場合、革の「ゾッキ」で製作しますと表面に目立つような革のキズを入れるわけにはいきませんので(細かい革キズを隠す意味合いを含めて型押しをすることがありますが)それを避けて裁断するためロスが大きく高価になります。ゆえに、「ゾッキ」造りはその分価値があるとも言えます。
また、コンビネーションは素材を組み合わせることで、デザインに変化を持たせることが出来るので変わった雰囲気を楽しめます。上記の革のいい部分を多く使わなくてはならない「ゾッキ」の短所を補う意味合いもあります。
こうして、「ゾッキ」で造るか、「コンビネーション」で造るかを決めるのは古来造り手側の主義主張があったのでしょうが、今では、こうした説明をなした後にお客様に決めていただくのがいいのかと思います。
さてさて、「ゾッキ」と「コンビネーション」どちらがお好みでしょうか?
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