図書館で借りてきた一冊。お薦めです。 twitter.com/saifuya/status…
— 藤井 直行さん (@saifuya) 2013年3月24日
先日、人物の伝記のような類いの本を探しに台東区立中央図書館へ行き、3冊ほど借りてきた本の中の1冊がこの本です。
故本田宗一郎さんのこの本、「序にかえて」という書き出しからしてすでに少々の衝撃を感じさせてくれるくらい面白い作品です。その序文では作業に夢中になって、仕事をする右手の支えとなる左手にしょっちゅうケガをしてしまう有り様が書かれているのですが、その内容が少々すさまじいのです。さらに、その数多にケガをした左手が後のページに絵入りで紹介されていてこれまた驚きに加えて興味ぶかいものがあります。詳しくは実際の本を見て頂くしかないのですが、正直面白く、もっと早くに出会いたかったくらいの価値ある文庫本です。
例えば、章の始まりの「やってみもせんで」を少し引用させていただくと、こんな出だしです。
頭にひらめいたことを、ただちに手を通してかたちのあるものにし、そのアイデアを実証せずにはいられない人間。こういう人のことを、ホモ・ファーベルと呼ぶそうである。変な表現だが、「手の人」「モノを作る人」というわけだ。
いわゆる口先だけでいっこうに実行のともなわないタイプの人間「口舌の徒」とは反対の存在だということができるだろう。
と、こんな具合です。考えが浮かんだらとにかく手を動かして形にしてみる、試作をしてみるということでしょう。タイトルの「やってみもせんで」との一喝にもあるように、まさにものづくりの基本がそこにあるとあらためて感じました。
職人さんの世界でも、昔から巷でいわれるところの「職人は口動かさないで手を動かすんだい」にも相通じるところがあり、共感することしきりです。
また。以前読んだ、IDEOの社長兼CEOのティム・ブラウン氏の書いた「デザイン思考が世界を変える」でも、さかんプロトタイプ(試作品)の重要性が繰り返し説かれています。書かれた時は異なりますが、洋の東西を問わず、ものづくりの始まりは「やってみる」の一言に尽きるのではないでしょうか。
本田宗一郎さんの「やってみもせんで」の一喝が聞こえてきそうな気がします。
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