いま袋物職人がかけているめがねは、今や主流となっているレンズの小さい、細身のめがねです。以前は、レンズ、ふちとも大きいめがねをかけていました。確か、その前あたり、女性の間で大きなトンボのめがねみたいのが流行っていました。
きっと、今それをかけて町なかを歩いたら注目を浴びそうな代物でしょう。「流行」は、物事にたいていつきまとう現象のようです。
では、なんで流行が起きるのか、袋物職人の少ない頭なりに考えて見ました。それは、「見慣れたから」ではないでしょうか。
もう20年近く前になりますが、所属している「江戸の伝統工芸協同組合」主催で、オーストリアのウィーンに行きました。袋物職人には、これが初めての海外旅行でした。
それこそ、見るもの聞くもの初めてづくし、なかでもシェーンブルン宮殿の壮大さとその建物の美しさには感動しました。
でも、ちょっと待ってください。きっと、その近所に住んでいるオーストリアの人にとっては見慣れた建物です。子供のころから、数え切れないほど見ているに違いありません。ちょうど、京都、奈良、浅草の近所に住んでいる人と同じようにです。(ここで類推を使ってます)
その反対に、オーストリアの人が初めて浅草へ来て浅草寺を見たら、きっと袋物職人と同じ感動を体験するに違いありません。
そこで、「見慣れたから」違うものが見たくなる。これが流行を生み出す原点のような気がします。斬新なデザインも、いつもと違うから、興味を引かれるのではないでしょうか。
とすると、細身のめがねもそろそろ見慣れられましたかね。さて、お次は?
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