渋谷にある「たばこと塩の博物館」へ行くと、江戸時代の豪商などが使った煙草入れが数多く展示されています。煙草入れは本体の袋に、キセルを入れる鞘や筒、腰に提げる部分の根付けや緒じめ、さらに本体の飾りとして彫金を施した金具など、袋物職人のほかの、様々な職人さんたちの手によって完成させられるオーダーメイドの逸品だったわけです。
ところで、プロシューマーという言葉があります。これはプロデューサー(生産者)とコンシューマー(消費者)を組み合わせた造語で、アルビン・トフラー氏が第3の波のなかで使ったことで有名です。消費者が製造のなかに参加して製品を購入することですが、日本では上記のようにすでに江戸時代にこのプロシューマーが存在したわけです。
購入する人の好みに合わせて、様々な職人さんがその注文を受けつけて、知恵と工夫をこらして完成品へと持っていく、なんともすばらしい世界に2つとない究極の物づくりがそこにはあったわけです。
製品によっては、量産したほうがメリットが大きいものはたくさんあるのですが、これからは作る側に使う側が参加した物づくりの流れが加速していくのではないかと思います。
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