浅草鳥越の袋物職人の通信局

梵字の成り立ちは宇宙のビッグバンのようです。

昨日のブログで梵字刺繍入り合財袋をご紹介しましたが、ここでは、さらにその梵字の成り立ちについて考えてみたいと思います。

まず、現代宇宙論では宇宙の成り立ちはビッグバンから始まったと考えられています。そして、不思議なことに、いにしえの古代インドの哲学者たちも、梵字の成り立ちに関して、あたかもビッグバンと同じような考えをしていたことが見受けられたいへん興味深いことかと思います。

さて、少し専門的ですが、ウィキペディアのこちらと、こちらを参考にするとともに、引用させていただき梵字の成り立ちについて述べてみたいと思います。

以下引用部分です（ウィキペディア：ブラフマンより）
 ブラフマンは宇宙の源である。神聖な知性として見なされ、全ての存在に浸透している。それゆえに、多くのヒンドゥーの神々は1つのブラフマンの現われである。初期の宗教的な文書、ヴェーダ群の中では、全ての神々は、ブラフマンから発生したと見なされる。


 Great indeed are the Gods who have sprung out of Brahman. - Atharva Veda
偉大な事実は、ブラフマンの中から湧き出て来た神々である。 - 『アタルヴァ・ヴェーダ』


さらに（ウィキペディア：梵字より）
 梵字（ぼんじ）はインドで使用されるブラーフミー文字の漢訳名である。ブラーフミーは「ブラフマン（梵）の創造した文字」を意味する。

と述べられて、興味深いことには、このようにブラフマンと言われる宇宙の源からあらゆる神々が生まれ出て、その神々、諸仏諸尊が１つ１つの梵字で表現されていることです。

スケールは違うこそすれ、誕生した宇宙の星になぞらえて考えれば、不思議と、現代宇宙論でいうビッグバンと似通って はいないでしょうか？あたかも、ビッグバンによる宇宙創成の歴史が、古代インドの哲学者、否、人類のDNAに刷り込まれていた結果成し得た技のような気がしないでもありません。

このように考えると、梵字を常にたずさえることは、宇宙の根本原理に思いをはせることが出来るとともに、守り本尊としての役割をはたしてくれる、有り難くも、豊かな気持ちにさせてくれるものなのではないでしょうか。要するに、梵字は宇宙の源から生まれた諸仏諸尊を表しているシンボルなわけです。

（これ以下はウィキペディアから引用しました）そして、日本には仏教伝来とともに梵字がもたらされましたが、平安時代に入り、最澄、空海らが唐から大量の経典を持ち帰り、真言として一般の人々の間にも広まったようです。

以上のいきさつから、日本においては梵字は単なる文字ではなく、それ自体に力がある神聖な文字であると信じられるようになったようです。

梵字刺繍入り牛革合財袋をお造りします

梵字を手振りという手作業のミシン刺繍で入れました。黒革に黒の糸でしずませた感じを出しています。梵字は、袋物職人の干支に対応した大日如来を表す文字です。干支に対応した守り本尊の梵字は８種類ありますので、ご興味がございましたらお気軽にお問い合わせください。また、３月１４日から２０日まで出展の、浅草寺浅草奥山風景　台東区伝統工芸振興会のブースにても展示ご案内いたしますのでそちらでもよろしくお願い申し上げます。なお、梵字の成り立ちについてこちらのブログに書きましたのでご覧下さい。

藤井袋物　藤井直行　電話０３－５８２０－３９８７

[email protected]

浅草奥山風景開幕がもうすぐです

３月１０日（土）～５月７日（月）までの会期で、下町風情の職人長屋が軒を連ねる、名物「浅草奥山風景」が開催されます。営業時間は、午前１０時から午後５時までの予定になっています。

袋物職人の所属する「台東区伝統工芸振興会」も３つのコマを借りて、会期中総勢２４人の職人さんが、下記の日程にて出展しますので、ご用とお急ぎのない方は是非お越しくださるようお願い申し上げます。（リンク貼りの関係でしょうか下記文字が寄ってしまいお見苦しいのはご容赦下さい）

１，３月１０日（土）～１３日（火）　　 木村指物 深沢やすり 田中すだれ

２，３月１４日（水）～２０日（火）　　石田つまみ簪 松本桐たんす 藤井袋物

３，３月２１日（水）～２７日（火）　　大河原はさみ 坂井看板彫刻 星野銅器

４，３月２８日（水）～４月３日（火）　平本銀細工 中村錫器 大久保革工芸

５，４月４日（水）～１０日（火）　　　　木場象牙　　佐瀬ガラスペン 小室縫紋

６，４月１１日（水）～１７日（火）　　　磯貝べっ甲 川勝組み紐 櫻井提灯

７，４月１８日（水）～２５日（水）　　　広瀬銀器 田代村山大島 茂上指物

８，４月２６日（木）～５月３日（木）　　片山桐たんす 遠藤仏壇　　　菊地市松人形

９，５月４日（金）～７日（月）　　　　　　田中すだれ　　　木村指物　　　　深沢やすり

いただき物の端切れから牛革とのコンビの合財袋を造ってみました

（相変わらず画像のセンタリングが出来ずに残念ですがご辛抱下さい。）

さて、ご近所の呉服屋さんから袴の生地の正絹仙台平の端切れをいただいたので、これを使って合財袋を製作してみます。

まず、生地にアイロンをかけて折りじわをのばします。

きれいになりました。

生地に不織布を貼ります。

だんだん形がついてきました。

今度は相棒の革を裁断します。

裁断したら、今度はコバ漉き（折れ曲がるところを薄く漉きます）をします。

コバ漉き機です。回転する丸い刃に革を通すと薄くそぎ落とすことが出来ます。

白っぽくなっている所が漉いた部分です。上の部分は幅が広めでやや薄く、サイドの部分は幅が狭めでやや厚めに漉いてあります。加工する部分それぞれで厚さ、幅が調整されます。

さて、いよいよ生地と革を接続する工程にやってきました。ここで柄合わせをして、うまく柄が揃うようにします。

接続し、縫製したあと、本体の底を丸くカットしました。

本体同士を貼りあわせて、縫製し、中袋も落として、口周りも縫製し、いよいよ最終段階です。

紐通しのコキ（プラスティック製です）を取り付けます。

紐を通して完成です。牛革ヌバックと正絹仙台平のコンビネーションの合財袋、なかなか粋でおしゃれです。

スマートフォンをいつもきれいにしてくれるスマートケース

 

 

先日ご紹介したピッグスエードのスマートフォン入れに続いての第二弾です。

今度は、セーム革（鹿革）のみを使った、シンプルなスマートフォン入れ、というか、スマートフォン拭きと言ったほうが的確かも知れません。

そして、この鹿革素材は元々めがね拭きに使われていたもので、その素材をそのまま裁断、縫製して上掲の製品にしてみたわけです。

これまでは、そのめがね拭きの方を携帯してスマートフォンを拭く時に使っていたのですが、ある時、別々にして持っているのは不便だと気が付き、ならば一緒にしてしまえ、とこのアイデアに至りました。

また、以前、お客様に「めがね入れに入れたまま、めがねが拭けると便利だね」と言われたことがあるのを思い出したのもこの発想の手伝いになりました。

見た目のシンプルさとは裏腹に、実際の使用感はなかなかいい感じです。まず、革が柔らかいことと、上述のようにスマートフォンを入れたまま本体を拭くことが出来ることです。

とかくに、すぐ画面が油膜で覆われやすいスマートフォンですが、このセーム革の袋に入れたまま、外から手のひらで何度か拭いたあと取り出すと、いつもきれいなスマートフォンが顔を出してくれます。

もちろん、本来のめがね拭きとしてもお使いいただけますし、汚れたら洗濯OKで繰り返しお使いになれます。

どうぞお気軽にお問い合わせ下さい。メールは[email protected]　または、電話０３－５８２０－３９８７までどうぞ。

半纏（はんてん）の生地で袋物もお誂えいたします

着込んだ半纏（はんてん）はとかく愛着がわくものです。新調した際に、今まで着てきた半纏ですからおいそれと捨てるわけにもいかず、さりとてタンスの奥にしまい込んで肥やしにしてはさらに活躍から遠のいてしまいます。

そんな時には、その生地を利用して袋物（巾着袋や合財袋）をお造りするのはいかがでしょうか。背中の紋の部分を大きく表に使ったり、襟の部分をほどいてステッチでのせたり、刺繍でお名入れしたりと、アイデア次第です。

よく、消防記念会、鳶の方には、年季の入った鹿革の価値ある半纏を合財袋にと、お仕立てを依頼されることがあります。古びた鹿革なのですが、それを袋物にすると、これがまた通人の持つ、いい味の逸品に仕上がります。

半纏で出来た袋物を携えて街中を流して歩かれるのも、江戸のおしゃれかと思います。どうぞお気軽にお問い合わせ下さい。メールは：　[email protected]　です。

家紋を革に合わせて色を変えてみました

 

 

オフホワイトの牛革の上に、グリーンの家紋（丸に木瓜：まるにもっこう）をあしらってみました。（家紋はデザイン豊富です。現在、家紋集を構築中です。まだ画像と名前だけですが、いずれは云われや歴史などを加筆していきたいと思っています。）

ご存知のように、家紋はルイ・ヴィトンもデザインに取り入れるほど洗練されたもので、世界に誇れる日本古来の意匠かと思います。

そんな素晴らしい日本のデザインを、色の組み合わせを変えて斬新な感じを出すべく創作してみました。古風な、黒地に白の家紋入れも、もちろんいいのですが、変えた配色で家紋に興味をお持ちいただき、古き良き時代がそれによって懐古されれば、それもまたいいことかと思います。

家紋を知ることは、日本の歴史を知ることにつながります。調べるほどに奥が深く、いにしえの昔を家紋が物語ってくれるのです。

もし、ご興味をもたれた方がいらっしゃいましたら、お気軽にご意見やお問い合わせを下されば幸いです。「この配色より、この配色のほうがいい」ですとか、「家紋が大きすぎる」ですとか「もっと違う袋物に入れたら」ですとか、どのようなご意見でも構いません。どしどしお寄せいただけると、ほんとうれしいです。

無料お名入れキャンペーンを実施致します

２月も終わりに近づいていますが、今年は特に、まだまだ寒い日が続いております。ですが、もうそろそろ暖かい日も訪れて、お待ちかねのお祭りなどの行事も迫ってまいります。

そこで、６月末日までの期間限定にて、当店合財袋などの製品に上掲のように無料のお名入れサービスを実施させていただくことに相成りました。ただし、大きさは見本のように縦５センチ、横２センチの行書体でのお名入れに限らせていただきます。その他のお名入れに関しましては従来通りとさせていただきます。

粋な合財袋にワンポイントでお名入れすると、キリッと引き締まるものでございます。どうぞこの機会に古くから江戸の通人が持つ合財袋をお１ついかがでしょうか。

革製品（袋物）の修理やリメイク承ります

革製品の修理やリメイクは以前から行なっていましたが、特にホームページに掲載することはしてこなかったのであらためてお知らせすることにいたしました。お気に入りのものは長くお使い頂くことやエコロジー、環境問題を念頭に修理を承りますので、宜しくお願い申し上げます。

以下詳細です。

１．当店の品物に限らず、お手持ちのお気に入りの革製品にほころびや修理すれば使える故障部分がある場合、メール [email protected] での画像や写真送付、もしくは現物を送付いただき、拝見し、修理可能かどうか判断の上、お見積もりさせて頂きます。そうした後に、こちらのお見積もりを確認して頂いた上で、直すか直さないかの判断を頂戴し修理などを実施させて頂きます。

２．例えば、がま口などの口金部分が外れてしまったとか、ホックを取り替える、または新たに付け加えるなどの主として、ホック、口金、ハトメ、カシメなど金具に関する部分の修理です。

３．または、革や裂地の縫製部分が外れたり、切れたりした部分の修理です。革や布地をあてがい、工夫を凝らして再度利用出来るよう調整いたします。

なお、ファスナーのコマが外れて、ファスナーを交換しないといけない修理の場合には、本体をそっくり解体して修理しないといけないことが多いので、その場合には、お見積もりが比較的高くなってしまうことがあります。

以上のようなざっくりとしたご説明ですが、お気に入りのもの、大切なもの、記念のものなどの修理やリメイクなど、承ります。まさに、インターネットの長所を生かして、全国どちらからのお客様のご要望にも応えてまいりますので、なんなりとご相談お待ちしております。

お問い合わせ、ご意見、ご要望は下記のソーシャルメディア窓口からお気軽にどうぞ！

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サービス経済化は再び職人さんの時代

経済のサービス化（PDF資料）は以前から指摘されているところです。アメリカを例にあげれば、GDPに占めるサービス産業の割合が約７５％と、日本のそれの約６５％を上回っています。（１９９６年ころの数値ですから、今では変化していると思われます）

ところで、冒頭のリンク先のPDF資料でも述べられている製造業の「サービス産業化」は興味ある流れだと感じたので、それについて、ちょっとひとくさり。

子供のころ、近所の児童公園の歩道のとある場所に、なべや釜を並べた「鋳掛屋さん」が時折いたのを思い出しました。こわれたなべや釜を修理する仕事です。新品も売っていたのかどうかは子供のころの記憶なので定かではありませんが、でも、この職人さんは立派なサービス産業だったわけです。

ですが、何年かしたらその「鋳掛屋さん」を見かけなくなりました。どういう理由かははっきりしませんが、たぶん、高度成長期、すなわち使い捨ての時代が到来し、仕事にならなくなったのではないかと、推測してみました。。

そうして、この頃から、ものを直して大切に使うという習わしが影をひそめ、次々に出る新製品に目を奪われるようになり、高度成長、使い捨ての時代が始まったと考えても良さそうです。ものなんか直して使うなんて馬鹿馬鹿しくなってしまった時代だったのではないでしょうか。

さて、時代は流れ、バブル崩壊という痛い経験を経て、今なお続く「失われた２０年」という長期低迷、デフレ経済が重くのしかかる最中に、日本史上最悪の東日本大震災とそれが原因の原子力発電所の事故と、二重三重の悲劇に見舞われ、日本人の社会意識の変化が決定づけられました。すなわち、節約、節電、いらないものは買わない、もったいない、使えるものは直して使うという使い捨て志向とは逆の節約志向・エコロジー志向です。

一方でアンケート調査の時点から言えば、東日本大震災で社会意識が変わったかも知れませんが、、PDF資料の巻末の図表、生活者２０００年のアンケートにもある「消費に対する考え方」のように、「多少値段が高くても品質の良いものを買う」「多少値段が高くても、アフターサービスが充実している方がよい」「自分のライフスタイルにこだわって商品を選ぶ」という考え方も現にあるようです。

このような観点から総合すると、高度成長期の代名詞であった使い捨て経済は再び鳴りを潜め、多少値段が高くてもライフスタイルにあった良いものを買い、アフターサービスの手を入れながら長く使い大切にする、という傾向が今後は増えていくと思われます。どうやら再び「鋳掛屋さん」の出番が回って来たようです。

ところで、職人さんはものづくりだけが得意と思われがちですが、どっこい、オーダーメイドにカスタマイズ、アフターサービスやエコロジーを意識した修理・リメイクなどをこなせるオールラウンドプレーヤー、純粋なサービス業者でもあるわけです。

そんなわけで、結論を言えば、サービス経済化が進めば進むほど、腕自慢の職人さんの出番や活躍の場所が、これからますます増えていくのではと思います。