この商品、お風呂に浮かべておくだけで油や湯垢を取り除くというか食べてくれるすぐれものです。この商品、どうも、アイデアを出す基本形のような気がしてなりません。
まず重要な点は、船舶事故で重油を回収する繊維と同じ素材を使って、家庭の浴槽の重油ならぬ油混じりの湯垢を取り除いてくれるように用途を変更したことに優れた点があると思います。
どうやら、えらくごつい重油の回収作業船をものすごく小さくして、さらに可愛らしい動物のマスコットに変化させたように思えてなりません。そうした水平思考的な発想も素晴らしいのひとことです。
さらに、こうしたアイデアを出すためには重油回収の技術を知っていることが必要です。加えて言えば、重油回収の作業を行なっている人には、ごくごく当たり前の技術であっても、それを他の用途に転用するとなると、また違った視点からものを見る人が必要なようです。
むかし、遠藤周作さんは「ぼくは好奇心のかたまり」という本を出していましたが、こうしたアイデアを出す秘訣は、やはり、純粋に好奇心のかたまりで、いろいろなところに首を突っ込んで知識を貪欲に収集することではないでしょうか。
追記:あとで考えが浮かびましたが、「技術シーズ」と「ニーズ」が合体するところで新しい製品が生まれてくるようです。この場合は先に「浴槽の油や湯垢を取って水を綺麗にして長く使いたい」というニーズがあることから、ではどうしたらそれが出来るかということになり、重油回収で行われている技術(技術シーズとしておきます)が採用されてこの製品の開発に至ったのではないでしょうか。また、この逆の先に技術があり、それに当てはめる場合もあるでしょうが、ニーズが存在することがまずもって重要である気がします。
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